街頭演説を行いました【漁業法改正・入管法改正】

 12月11日(火)東静岡駅駅頭をお借りして街頭演説を行い、①昨日閉会した臨時国会で成立した漁業法改正案と入国管理法改正案 ②我が国の財政に関する問題 について、お話しさせていただきました。本日は、①について以下に掲載いたしますのでご覧ください。②については、明日、掲載させていただきます。

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 昨日、臨時国会が閉会しました。
 この臨時国会では漁業法改正案と入国管理法改正案という重要な法案が成立しました。

 この2つの法律には、共通した欠陥があります。それは法律の中身がスカスカで、法律案とは言えないようなものであるということです。本来法文中に書いてあるべきことが、法務省や農林水産省が省令で勝手に決められることになっているのです。
なぜこういうことになっているのか。それは今、政府与党が圧倒的多数を占めているために、細かいところまでいちいち国会の意見を聞く必要はない、勝手に進めていくんだ、という考え方が浸透している。そこに問題点があると私は思っています。

 民主主義というのは、基本的には最後は多数決で決まります。ですから今、圧倒的多数を占めている自民党・公明党の意見が通るのはやむを得ないことです。ルールに従い、選挙によって選ばれているからです。しかしながら、多数決を行う前提として、「今世の中にこういう問題がある。これに対してこういう法律案を作りたいが、これでいいだろうか」ということを、国民や野党、あるいは自民党自身に対して投げかけ、議論を尽くした上で、最後に意見が分かれたら多数決で決める、これが本当の民主主義のあるべき姿なのではないでしょうか。
私が子どものころもそうでしたが、皆さんの学級会や生徒会でも、いきなり多数決でものごとを決めるということは行われていないと思います。まず議論を尽くした上で、例えば修学旅行にどこに行くのがいいか、みんなで意見を出し合った上で、多数決で決めなければいけないときは決める。これが民主主義だと思います。ところが今の国会では、唐突にとても重要な法案が出てくる。そしてほとんど審議もしないまま多数決で決められてしまう。私はこんなやり方では将来に禍根を残すことになると危惧しています。

 例えば入管法改正案について。これは外国人の労働者の方を、少なくとも毎年5~6万人ずつ、5年で30万人も受け入れ、その方々が永住権をとれるようにしていくという改正案です。
日本は今まで外国人に門戸を閉ざしてきました。移民も毎年数人しか受け入れてきていません。日本人の、移民に対するアレルギーのようなものがまだ払拭できていないからです。言葉の違いから、外国の方とコミュニケーションがとりにくいといった、日本固有の問題点もあろうかと思います。このように、今まで外国に門を閉ざしていたものを、いきなり30万人というすごい単位で受け入れていくことになれば、皆さんに大変な影響を及ぼすことになります。低賃金で働いてくれる外国人労働者が、皆さんが働くことになったときに、皆さんのライバルになるからです。皆さんの給料を非常に安い方向に押しやっていく可能性があるわけです。ですから、移民を入れていくためには、本当に慎重で真剣な議論が本来はなされるべきでした。
 また、今、諸外国では、移民排斥運動が起きています。それは、特に単純労働に従事し、賃金も安く、苦しい思いをしている人達にとって、移民が大きなライバルになっているからです。ドイツなどは移民を大きな人数受け入れていますが、ドイツ語教育を一生懸命行い、移民の方達がドイツになじめるよう、社会に分断を生まないよう、大変な努力をしています。ところが日本では、こういうことをきちんとしないまま、労働力が必要な産業界において人手不足だというだけで、不意打ちのように移民を事実上認める方向での入管法改正案が提出されました。そして細かい内容は全部あとから省令で決める、というスカスカの法律が成立してしまったわけです。
 私は、やはりこういう重大な問題に関しては、日本の将来、特に若い人達の将来に関わることであるだけに、このようなやりかたをすべきではなかったと思っています。おそらく、5年後、10年後、この入管法改正によって、日本にずっと住んでいく外国人の方が増えていくと思います。当然色々な摩擦が起きるでしょう。日本人と同じような犯罪を犯しても、外国人の方がやってしまえば目立ちます。あるいは、単純労働に属する分野においては、大変強力なライバルになる。そういう将来について、政府与党は全く覆い隠し、今の人手不足の解消にどうしても必要だということしか強調していません。

 私は移民受入れ自体には賛成です。なぜなら、日本も、かつてまだ貧しかった発展途上の時代、ハワイやブラジル、アメリカなどに、移民として受け入れてもらった歴史があるからです。ですから、先進国としての日本が移民を受け入れるというのは、ある意味義務だと思っています。しかし、そのような自覚のもとに移民を受け入れるのであれば、今のような小手先だけのやり方ではなく、正々堂々と、国民に「日本もこれから広く移民を受け入れていこう。そのために政府もこういう制度を作って移民の方々が日本に溶け込めるよう手助けする。だから国民の皆さんも受入れてください」という説明をし、真摯に議論をして、外国人労働者を正面から受け入れる。それが正しいやり方だと私は思います。