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【国会報告】入管法の趣旨説明と質疑が行われました

 昨日(2018年11月13日),衆議院本会議が開かれ,出入国管理法改正案に関する与野党の質疑が行われました。国会,特に本会議における法案の質疑は,言いっ放し・答えっ放しとなることが多く,また,肝心の法案ではないことに対する質問が質問時間の大半を占めたりするので,議論としては物足りないことが多いのですが,昨日は与野党共にこの法案の質疑に集中しており,充実したものでした。

 まず最初にこの法案について簡単に説明しますと,これは実質的な「移民受け入れ法」です。
 人材不足の業種において,相当な知識や経験を必要とする技能を要する業務に従事する「特定技能1号」,熟練した技能を要する業務に従事する「特定技能2号」という在留資格を設けます。1号は,在留資格は5年を限度,家族の帯同を認めない,とされています。つまり,2号は,5年毎に更新可能で家族を同行して日本に住まわせることも可能な訳です。また,1号も,一定の試験に合格することで2号に移行可能とされています。つまり,延長を繰り返せば永続的に日本に家族と共に住むことが可能になるのです。しかも,この日の質疑でも取り上げられましたが,永住許可にあたっては10年以上の継続在留が要件とされていますから,最初の5年が1回更新されれば,事実上永住権を得るための資格を得ることができるのです。

 話を少し戻します。現状においては,外国人労働者の受け入れに関し,建前上は「鎖国政策」を維持しながらも現実には「技能実習」(ちょっと前は研修生)という姑息な制度を設け,外国人の方を低賃金で長時間労働させるという奴隷労働のようなやり方をとっており,国内だけでなく国際的にも強い批判が寄せられています。また,日本国内では労働力需要が高まる一方ですが,今の制度では誰も日本での労働に魅力を感じなくなり,日本で働こうとする外国人はいなくなるでしょう。
 こういったことから,唐突に臨時国会に上程されたのがこの出入国管理法改正案でした。
 私は,今の技能実習制度への疑問(廃止されるべきです)や,明治から昭和にかけてハワイやブラジル,満州,台湾に多くの日本人がチャンスを求めて移民していったという近代の歴史,それにそもそも全ての人類がアフリカからの移民であるという人類史に照らせば,正面から移民を受け入れるべきだと考えています。
 したがって,本当であればこの出入国管理法改正案に賛成したいところですが,残念ながら今回の法案には大きな欠陥があります。それは,法案の中身が「がらんどう」で,ほとんど全てを省令で決めることとしていることです。次の問題は,先にお示ししたとおり,事実上の移民,しかも永住権を持つ移民に大きく門戸を開く法案でありながら,労働力が不足している分野において,専門性や特別な技能を持つ外国人の方に一定期間の在留資格を認めるに過ぎない,と詭弁を弄した説明が行われている点です。これは安保法制や憲法9条改正論議でも行われている,安倍政権独特のやり口です。「衣の下に鎧」な訳です。3つ目は,当然起こるであろう,日本人労働者とのバッティングの問題,また日本人労働者の賃金水準の低下を招くであろうことについて,正面からの議論を避けている点です。

 さて,前置きが長くなりましたが,この日の質疑をハイライトでご紹介いたします。

  トップバッターの自民党田所議員の質問は,上記問題点について,懸念を払拭させるという観点からでしょうが,野党議員かと思うような質問がなされました。誰もが聞きたい,①「単純労働者の受け入れ」とどう異なるのか,というのが最初の質問でした。これに対する安倍総理の答えは,「今回、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお労働力が不足する分野に限り、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れることとしたものであります。これは、現行の専門的、技術的分野における外国人受入れ制度を拡充したものであり、従来の基本方針を変更するものではありません」というものであり,正面からの答えはありませんでした。どのような事実をもって「一定の専門性,技能を有し」ているとみるのか,何をもって「即戦力」というのか,あまりに曖昧です。どんな職業でも「一定の専門性,技能」は必要なのですから。この後,②受け入れ見込み数についての質問がなされましたが,安倍総理の答えは,「現在精査中。近日中に初年度と当初5年間の見込み数を出す」。常識的に考えれば,法案審議にもっとも必要な情報のうちの一つである「見込み数」すら国会審議の席上で出せないような状態で,このような法案を上程すべきではなかったでしょう。このあと,法務大臣に対し,③日本人の雇用を奪うことにならないか,④「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」とは何か,⑤在留期間の更新が可能となるため,永住者になるのではないか,⑥社会保障への影響,⑦「移民」受け入れに当たらないのか,とまさに率直かつ具体的な質問が続きました。
 法務大臣の答弁は,③「日本人雇用との競合」,については,所管官庁が適切に把握して受け入れ停止措置を講じる,との答えでしたが,それでは単なる雇用の調整弁を外国人労働者に担わせるだけです。技能実習制度と同じく,あまりにご都合主義でしょう。④「技能とは何か」については,具体的な答えはなく「相当期間の実務経験」「日本語はある程度の日常会話」「業種に応じて面接」など抽象的なものばかりでした。⑤「永住権」とのからみでは,まさに正面からの答えはなく,法に定められた観点から審査する,という木で鼻をくくったような答えでした。⑥社会保障への影響については,主に不正防止の観点からの答えにとどまりました。⑦「移民ではないか」については,「政府としては、例えば、国民の人口に比して、一定程度のスケールの外国人及びその家族を、期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持しておこうという政策をとることは考えていません。」と斜め横からの答え。移民政策を問うているのではなく,移民にあたるか否かが問われているのですが。逆に言えば,政府の移民の定義は「「国民の人口に比して、一定程度のスケールの外国人及びその家族を、期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持しておこうという政策」によって受け入れる外国人及びその家族」ということなのでしょう。

 次は,立憲民主党の山尾議員。この方の質問はいつも中々キレがあり,楽しみにしています。この日もスイスの小説家の「我々が欲しかったのは労働者だが,来たのは人間だった」という,まさに言い得て妙,な言葉の紹介から始まり,①技能実習の問題点(最低賃金以下,失踪者が失踪せざるを得なかった事情を記した聞き取り調査票の公開),②移民の定義と移民政策,③在留期間の更新と10年を要件とする永住許可との関係,④単純労働との違い,⑤受け入れ業種(現在14業種)選定の透明性と公正性,⑤受け入れ見込み数,⑥日本人の賃金水準への影響,⑦社会保障への影響,⑧家族まで帯同させながら景気の調整弁とするつもりか,などが続きました。
 その答えは,安倍総理,法務大臣共に先に紹介した自民党議員への答弁のオウム返しであり,全体的に「話を逸らしている」というしかない答弁でした。

 国民民主党の階議員の質問は,「骨皮だけの筋なし法案」との皮肉に始まりましたが,「本法案が肝心な部分を法務省令に白紙委任し,法案成立後に法務省が実質的な立法権を行使しようとすることは,国会を唯一の立法機関とする憲法41条に照らしてみても問題です」との指摘がなされました。なるほど,と頷かされました。仰るとおり。
 また,「外国人を単なる労働力として扱うのではなく同じ人間として扱い,日本人として共生して地域社会になじんでいける体制を整える必要があり」そうでなければ「日本人と外国人との間に心理的,物理的な障壁ができ,国民の不安と不満が高まりかね」ず,「将来的には日本の経済界がいくら望んでも外国人の側が日本で働くことを選択しなくなる時代が来るかもしれません。」という指摘は全く同感でした。
 そのほか,①骨太方針に示された,前提条件となる生産性向上や国内人材確保のための取り組みがなされているのか,②技能実習生の声を聞かないのか,などの技能実習制度とからめた質問,③転職の自由により地方の人手不足が解消しないのでは,などの質問がなされ,独特の切り口を感じました。
 そして,①②に関し,再質問,再々質問がなされましたが,総理の答弁は「業界ごとに異なり,法律で定めることはできない」,「所管の法務省で行う」などといったものでした。

 公明党の濱地議員の質問は,公明党らしく,細かい論点を押さえていく,というものでした。①なぜ来年4月から受け入れ拡大するのか,②国内人材の就労・処遇改善策,③受け入れ業種の検討状況,その判断指標は何か,④10年の永住要件と5年就労資格との関係,⑤悪質ブローカー排除と就労先倒産などの場合の支援,⑥雇用形態として派遣を認める分野,⑦技能実習生の失踪問題,⑧1号外国人に家族帯同を認めないことの人道的問題,⑧新たに創設される出入国在留管理庁,⑨地方公共団体への支援,を取り上げました。
 質問を聞いていて答弁で何が出てくるのか,と期待したのが,①,③,⑥でした。
①なぜ来年4月か,についての安倍総理の答えは「人手不足が深刻な状況」でした。このあたり,「専門性,技術力を有する即戦力」を受け入れるもので,単なる人手不足解消のためではない,とする建前と矛盾したのではないでしょうか。③判断指標,については有効求人倍率以外には示されませんでした。⑥派遣を認める分野,については「派遣形態が真に必要不可欠な業態」との答えで,まさに「問いを持って問いに答える」で,答えにも何もなっていなかったと感じます。

 無所属の会の黒岩議員の質問も独自性があって興味深いものでした。
 法案の建て付けが,「第一段階:法案成立」,次に「第2段階:政府基本方針で,通則的な受け入れ基準,技能水準を閣議決定で定め,「第3段階:分野別運用方針を各省庁が定め」「第4段階:法務省令改正で初めて具体的な業種名やその数が決まる」となっているので,質問して何も答えられないだろう,という指摘がありました。総理や法務大臣の答えが抽象的なものにとどまっている理由を明快に説明したものでした。

 共産党藤野議員の質問も,同党らしく,技能実習生の悲惨な実態の紹介とその改善を求める指摘。1990年の入管法施行以来,在留資格を次々と追加しながら外国人労働者を技能実習生,留学生,日系人の受け入れを行ってきたが,安価な労働力として利用してきただけで,これ以上のごまかしはやめるべき,という指摘はまさに正論でした。

 維新の会の串田議員の質問は,2号の存在で外国人にのみ5年更新の有期契約が認められるので日本人の正規雇用の機会が失われないか,技能実習生の7000人以上の失踪者がなぜ見つけられないか,介護分野の労働力不足を低賃金の外国人労働力で埋めるのは,日本人労働者の環境改善を阻害するのでは,という,同党らしい観点からの質問がなされました。

 最後に総括します。政府側答弁に物足りなさが残ったものの,法案及びこれに関連した制度の内容に集中した,白熱した質問が今日の国会本会議にはありました。さらにいえば,待ったなしかつ日本の将来を大きく変えていくであろうこの課題について,政府側を問い詰めるだけではなく,「我が党はこう考える」,という正面からのぶつかり合いも今後の委員会質疑及び採決時の反対討論・賛成討論において行われることを期待したいと思います。

【国会報告】代表質問2日目を終えて

 昨日(10月30日)の代表質問は、公明党、無所属の会(野田さん岡田さんらのグループ)、共産党そして維新の会でした。この中でも,無所属の会はいつもキラリと光る質問をされるので楽しみにしていたところです。

 さて,ここでは実際に行われた順番とは順序を変えて、まずはその無所属の会、野田元総理の質問から紹介します。まずはジャブのように総理として未来への責任を聞かれたが、これは挨拶がわりのようなものでした。
 次はいきなり本題の財政健全化。基礎的財政収支(プライマリーバランス。国債など借金以外の収入と、国債などへの元金利払い以外の支出を比べたもの。借金しないで支出が賄えるかどうかの指標)の2020年度黒字化が5年も先送りされたことを問いただしたもので、他の与野党はこの最重要な問題に触れてもいません。触れれば「バラまき」が出来なくなるからでしょう。今の政治の無責任さの象徴です。そこは、さすがに党が不人気であったところにあえて不人気な消費税引き上げをぶち上げて解散に総理として臨んだ過去を持つ野田さんのこと,やはり覚悟が違いました。この正面からの問いに対して安倍首相は「全世代型社会保障制度への転換」を先送りの理由として答弁しました。しかし,質問とは噛み合っていません。プライマリーバランスの範囲で予算を執行するのか、背伸び(借金)して予算を組んでいくのか、先送りするか否かはこの根本的な発想の違いによるもので、そこをきちんと説明すべきだったでしょう。
続けて日銀の異次元金融緩和の出口政策について、その時期や手法についての質問。勿論、中央銀行の独立性から考えればこれを首相に問うのはお門違いではあるのですが、現在の日銀と政府の癒着ぶり、その癒着による財政ファイナンス(日銀にお金を刷らせて支出を賄うこと)というとんでもない政策を考慮しての,いわば確信犯的質問だったのでしょう。安倍首相も中央銀行の独立性を理由にかわしました。
続けて消費税引き上げについて。先に紹介したように、政権だけでなく事実上与党の地位を投げ打ってまで決めた3党合意による消費税引き上げ。野田さんにとって、財政健全化への想い、責任感はそれほど強かったのでしょう。この質問でも、終戦時の債務残高はGDP比200%であったのが、今年度は240%を超えていることを指摘し、その財政赤字の最大の要因が社会保障費であるからこそ、社会保障と税の一体改革が必要であると正面からの議論を持ち出されました。そして、低所得者層への逆進性対策として有効なのは軽減税率ではなく、対象を明確に絞ることのできる「給付付き税額控除」であると主張して再考を求められました。この点はまさに同感です。これに対して安倍首相は、2.9万回の説明会を延べ83万人に実施したなどと答弁されましたが、いくら説明会を開いても不合理な制度は不合理。その答えにあまり説得力は感じられませんでした。
 議員定数削減を巡っては、参院での6増は、党首討論での定数削減の約束に反したのでは、との質問に対し、安倍首相は、衆議院では削減したといきりたち、議場は騒然。安倍さんは痛いところを疲れると如実に態度に現れますが、今回の代表質問でそこまで追い込まれたのは野田さんの質問の時だけだったように思います。
その後、日米同盟に関連し、米国のパリ協定離脱、INF(中距離核戦力全廃)条約破棄、イスラエルのエルサレム首都移転、2国間FTAについて、トランプ大統領に翻意を促す努力をしたのかと、ストレートな質問。これに対し、安倍首相は、最後の関税交渉について、やはり「言うは易し行うは難し」といきりたち、痛いところをつかれた感がありあり。
この後、ロシア、北朝鮮、女性宮家の問題で締めくくられ、憲法改正問題が取り上げられなかったことは残念でした。是非意見をお聞きしたかったところです。
総じていえば、まさに重量級の質問。迫力がありましたし、その内容に気持ちが込められていました。個々の政策について私とは意見が違うところはありますが、その気概は政治家として是非とも見習わなければならないと思いました。また,こういった正面からの議論こそ今の国会に必要なものだと改めて感じさせられました。

 公明党は公明党らしく、生活に密着したきめ細かい問題を取り上げていました。国会中継の字幕放送実現から始まり、防災、被災者支援ときてブロック塀対策。空港の防災対策や教育費の負担軽減、認知症対策。税制改革も車体課税の見直し(これを書いている10月31日のお昼に,なんとJAFが車体課税見直しを街頭で訴えていました。外郭団体も連携しての出来レースなんですね)や一人親対策から個人事業主版事業承継税制まで。連立与党の在り方として細かいところに気を配るというのはありだとは思いますが、巨大与党にピリッと辛口の意見も進言するというのは難しいのでしょうか。
 そして、消費税引き上げ。公明党は軽減税率の旗振り役でしたから、これを肯定するのは当然でしょうが、消費の反動減対策として様々な給付金やクレジットカードのポイント付与システムなどは増税による税収増を減じますし、設備投資が必要なため中小企業者に対して負担になることなど負の側面も多大にあります。これらに対する「対策」を総理に求めましたが、その対策には当然新たなる予算増が伴います。日本でも政策はよりシンプルなものにするべきでしょう。

 次は共産党。最初が沖縄県知事選と辺野古の埋め立てに関する国土交通大臣の埋め立て承認撤回の執行停止問題。日米地位協定にも触れられました。この問題は、国の安全保障の在り方にもかかわる大きな問題。立憲民主党の代表質問のところでも触れましたが、辺野古移転が反対は良いとして,ではその先の中長期的ビジョンをどうしていくのか。沖縄の負担軽減のためにどういう方向性を考えているのか。そこも含めて堂々たる論戦を展開していただきたいところです。
 消費税増税について、過去の税率引き上げ時に景気が冷え込んだとの指摘はそのとおり。ただ、消費税上げに頼らず財政健全化をどうやって達成するのか、その具体的なシナリオも示していただきたいところです。ポイント還元や給付金のバラマキ反対を述べられたことには強く同意します。また、富裕層と大企業への優遇税制廃止も訴えられましたが、財政健全化の見地からこれも強く賛同します。
続けて憲法9条についての質問。憲法9条改正反対の理由として上げられたのが、①自衛隊を前にしての改憲宣言、②所信表明での言及、③世論調査では反対が多数であること。それはそうですが、あまりに手続き論すぎて、正直、迫力に欠ける反対理由です。党としてなぜ反対なのか、正面からぶつかる迫力のある議論を期待します。

 最後は維新の会。維新の会はあくまで維新の会らしく、消費税引き上げ反対の理由として挙げたのが行財政改革の不徹底。議員定数削減や人事院勧告に従った公務員給与引き上げ反対を述べられました。
 議員定数削減は人口減に併せて必要ですし,先の通常国会で成立した参議院議員の定数6増はまさに論外ですが,人事院勧告による公務員給与引き上げは,労働権の制約がある公務員への代償措置であって,労働者である公務員の基本的人権に関わる問題。また,最近の日本の問題点は給与所得者の給与水準が急速に劣化していることであり,公務員給与が改善されなければ民間給与もそれに引きずられてしまいます。負のスパイラルをこれ以上加速させないためにも人事院勧告は守られるべきです。
憲法改正については,維新の会の持論である教育無償化などの観点からの賛成意見。私としては,そこを憲法で決めるべきことか否かは疑問ですが,議論を提起されること自体を否定するものではありません。
 外国人在留資格に関しては,建前ではなく「移民」をどうするかという国民的議論を,との提案。こういった正面からの問題提起は賛成です。今の政治にもっとも欠けているところですから。面白かったのはNHK受信料下げを提案されたこと。公共放送機関としての役割を整理し,スポーツ番組や娯楽番組は別の有料体系にすべき,という具体案が添えられていました。確かに,とうなずくところでした。

 以上で衆院での各党代表質問が終了しました。先の通常国会で行われた議論から予想されたとおりの内容でしたが,今の各党の色合いや実力というものもよく現れたものだったと思います。そういった意味ではとても参考になるものでしたが,残念ながらそういった観点からマスコミや各党から論評がなされたことは今までなかったと思います。国会議員として,有権者の皆様に果たすべき責任と受け止め,これからも国会報告を詳細かつわかりやすく続けさせていただきます。

【国会報告】代表質問が行われました

 昨日、代表質問が衆院で行われました。

トップバッターは、野党第一党の立憲民主党の枝野代表。最初のテーマとして持ち出されたのは予想通り前国会で追及されたモリカケ問題や防衛省の日報問題でした。賛否のあるところですが、私としては、野党第一党らしく、国の根幹について堂々たる議論をぶつけていただきたかったところでした。このところの立憲民主党の支持率低迷の原因は、率直にいって声が大きい方達の声ばかりが聞こえてしまい、サイレントマジョリティである大多数の国民の声とは違うところを向いてしまっているからなのでは、と危惧を感じています。粘り強く期待してくださっている国民も多いところですので、骨太の議論を前面に押し出してその期待に応えていただきたいと思います。
補正予算の編成遅れや賃上げ・経済成長に関する国民の実感と続いた後、ようやく国民の主要な関心事-消費税引き上げについての質問があり,その使途(保育所の無償化)と格差拡大の観点から反対する、と述べられました。そして、逆進性対策としてのクレジットカードのポイント付与や商品券配布についての批判がなされました。逆進性対策については、中小業者にとって負担となるだけですし、まさに弥縫策、私も反対で,枝野代表に強く共感しました。ただ、消費税引き上げ反対を言うからには、三党合意をされた肝心な理由である財政均衡について,その点をどうされるのかきちんと説明されるべきだったのではないでしょうか。
憲法改正について、総理が改正の旗手となることの法的・立憲主義的問題点を指摘されたところは、納得でした。その後いくつかの質問事項の中で私が気になったのは、外国人労働者を受け入れるための入管法改正案について。移民受け入れや研修に名を借りた外国人労働者に対する賃金差別問題について枝野党首自身はどう考えておられるのか、そこも聞きたかったところ。諸外国における一般的な定義では1年以上定住している外国人は移民なのですから。ここは正面からの議論をしていただきたいところです。ドイツのメルケル首相は、党の評判など気にすることもなく、筋を通して移民受け入れ政策を推し進めています。その政治家としての潔さこそ、これから、日本においても求められてくるところでしょう。
最後の方で辺野古基地問題にも触れられました。その目配りはさすがですが、沖縄基地問題の中長期的ビジョンも質問の前提として、お聞きしたかったところ。
総じて言えば、政権交代を目指す野党第一党として、逃げない議論を是非していただきたい。国民はそこをみていると感じます。

次は自民党。政権与党であるため、首相の所信表明演説の礼賛となるのはある意味当然。しかし、党として注文をつける、というところは少しで良いから必要だったのではないでしょうか。質問者の稲田議員は、ペーパーを棒読みの感じで、メモだけを見て質問する昔の弁護士のようでした。肝心の中身は、最初に「五箇条の御誓文」や聖徳太子の十七条の憲法第一条を持ち出されるなど復古主義者であることを彷彿とさせるものでした。
外交・安保問題でも、米国、中国、ロシアにはその力に配慮したかのような慎重な物言いに終始されましたが、韓国に対しては、相当程度敵対的・挑発的な内容で、対照的な印象を受けました。保守であるならば、大国に対しても臆せずモノを言う、という態度をみせて欲しかったところです。 大変問題があった「全世代型社会保障制度」と「憲法9条改正」については、先に報告させていただきましたのでそちらをご覧ください。

昨日の最後は、国民民主党でした。支持率は結党当初から低いのですが、質問においては前国会においても光るところをしばしば感じていました。優秀な政策スタッフの存在があるのでしょうが、玉木氏自身の考え方や個性も当然反映されているのでしょう。今日も最初の方で「日米地位協定」そして首都圏の空域問題を取り上げ、独立国の権利を主張された辺りさすがという感じでした。
北方領土・日ソ平和条約に関する具体的提言をされた後、憲法9条に関する対案としての改憲案と国民投票法に関しても具体的提言。前者は必ずしも賛同しませんが、後者はまさにおっしゃるとおり。
軽減税率の問題では、タブー(?)である宅配新聞の軽減の問題も取り上げられました。インボイスの発行で中小企業者が取引から排除される懸念も頷けるところでした。コドモノミクスと名付け子ども一人1000万円の給付を提案されましたが、これは時すでに遅しの感がある上に日本社会では嫉妬がらみの批判が高まりそうです。
入管法改正では「外国人と共生」を訴え、「同一労働同一賃金」「日本語教育の義務付け」と具体策を提示されましたが、これにはおおいに賛同します。とにかく、具体的で熱が入った面白い代表質問でした。
日本に改革中道政党が必要なことは言われるとおり。支援団体と一定の距離を保ち、国民全体の利益に配慮した、率直な意見を今後も述べられることを期待します。

【国会報告】代表質問で露呈した 安倍政権の国民に対する虚構

 本日はいよいよ代表質問が衆院で行われた。まずは衝撃的な質問と答弁について紹介する。自民党の稲田議員が、「元気で活躍できる高齢者に「支え手」の側に回ってもらう」と質問し、安倍総理は、「年齢にかかわらず学び働く」「70歳まで就業確保」と答弁された。つまり、事実上「死ぬまで働いてください、年金はほぼ払いません」と公式に政府が表明したのである。私は、正直な言葉で政策を語るべきであり、その点が現在の政府に根本的に欠けている問題点だ、ということを述べてきた。安倍政権が提唱する「全世代型社会保障」という言葉の真の意味はここにあり、その真の姿が国民の前に姿を現しつつある。

 同じ問題を抱える別の重要な質問もやはり稲田議員によってなされた。憲法9条改正を巡る問題だ。「自衛隊違憲論に終止符を打つ」「防衛大臣時代に南スーダンを視察しましたが、気温50度を超える灼熱の地で黙々と道路や施設を補修する自衛隊員の姿は現地の人々や世界から賞賛されていました。」「災害において自らの危険を顧みず救助、復興作業に当たっているのも自衛隊員の皆さんです。」だから、「自衛隊を誰からも憲法違反などとは言わせない、そのためにも憲法改正は急務」と質問し、安倍総理は「総理としては答弁は差し控えるが自民党総裁として」答弁された(?)。その内容は「自衛隊が合憲という憲法学者は2割」だから、その論争に終止符を打つためだそうだ。現在の憲法学者で自衛隊を違憲という方を探すほうが難しいと思うが、自衛隊改憲論の後ろに隠されたもの―日米同盟において自衛隊を米軍の世界戦略における補完勢力とするための基盤整備として、安全保障法制と憲法改正を一体として進める―はあくまで隠しとおして物事を進めるつもりなのだ。
 私は、憲法改正の一切を認めない、という立場ではない。しかし、一国の基盤たる憲法、しかもその主要部分とされる安全保障の在り方を定めた憲法9条改正を、言葉のごまかしで進めるべきではない。正々堂々とした議論の果てに行われるべきであるし、それが「主権在民」「民主主義」の姿だ。国民を欺くようにして、国の進路を決めるべきではないのだ。

【国会報告】第197回臨時国会が召集されました

 本日、第197回臨時国会が召集されました。
 私は、無所属として再出発しましたが、無所属という立場を生かし、是々非々の自由な観点から国会の様子を皆様にお伝えし、また、私の見解・意見を述べさせていただきます。この報告を行っていくこと、そしてそのような活動を通して今の国政の問題点を皆様と共に考えていく、という新たな議員活動のスタートです。国会議員として、心躍る気持ちで国会に臨んでいます。

 初日は、安倍内閣総理大臣の所信表明演説と麻生財務大臣の財政演説がありました。

 安倍総理の所信表明は、「強い日本」を創る、という安倍さんらしい前文から始まりました。安倍さんの今までの言動やそこから覗えるキャラクターどおりの前文です。私は個々人の自由や創造性を重視するという立場ですので、必ずしも共感するものではありませんでしたが、トランプ大統領と同じく個性を前面に出しているという点で、安倍自民支持層には訴えかけるものだったでしょう。

 その後、述べられた点は、2「強靭な故郷づくり(復旧・復興の加速・震災からの復興・国土強靭化)」3「地方創生(農林水産新時代)」と続きました。この3の中で述べられた「全世代型社会保障改革」、この言葉とその内容には大きな違和感を受けています。言葉は格好の良いものですが、ありていに言えば、年金の破たんが近づき、65歳年金開始でも賄えそうもないから70歳まで支給年齢繰り上げを視野に入れ、「全世代」という言葉でごまかしている感が透けてみえます。過去の歴代政権や厚生労働省の予測の誤りの積み重ねの結果ですから、安倍政権のみの責任とは言えないでしょうが、せめて言葉でごまかすのではなく、真摯に国民に真相を告白し、骨太の議論や提案を行うべきです。

 同様の問題は、同じ項目での「女性活躍の旗を高く掲げる」と「外国人材」にもあります。女性活躍や外国人労働者の積極的受け入れは私も賛同するところです。しかし、女性労働力に着目している理由の大きなところは、極端な労働力不足解消のためという狙いがあるのでしょう。これもそのような狙いがあることを正面から認めたうえで、日本の現状を直視し、女性に偏重している家事・育児負担の軽減を図ったうえで女性の自己実現のために行うという正直な提言であるべきです。外国人材も同じです。「一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材」についてのみ「日本人と同等の報酬」を確保するとしています。しかし、日本国内に根強く残る定住外国人労働者受け入れへの偏見を是正し、「研修」という修飾語でもって、日本国籍をもつ労働者ではありえない低賃金労働を強いている不正義の是正も同時に訴えなくてはならなかったところです。

 この後、4「外交・安全保障」が述べられたあと、5「新たな国造り」結びとして6「おわりに」が語られました。外交・安全保障については、深く論じていきたいところもあり、これについての言及はまた別の機会にさせていただきます。「新たな国造り」では、安倍総理悲願の憲法改正に言及がなされました。その具体的内容については語られませんでしたが、安倍総理の主眼が憲法9条にあることは間違いのないところでしょう。9条について議論されることを否定するものではありませんが、これは広く安全保障の在り方と憲法9条改正や安保法制のその先にあるアメリカ・日本の真の狙いをつまびらかにし、国民が正確な情報をもとに正しい選択を行えるようにすることが先決です。この問題こそは、「言葉遊び」や「言葉の修飾」でごまかすべき問題ではありません。私たち、そして未来を担う子どもたちの生命の行く末にかかわるものであり、国民の真意による選択が絶対的に必要なものなのですから。

 最後に、復興・復旧予算をはじめとする必要な補正に異を唱えるものではありません。しかし、当初予算に計上すべきである項目などの問題点は隠されたままです。財政均衡の視点は、安倍総理の所信表明だけでなく、麻生財務大臣の財政演説でもまったく触れられませんでした。財政の均衡という視点は、これからの日本を考えるとき欠かせないものです。この視点が欠落すれば、所信表明の最後に述べられた「私たちの子や孫の世代のために、今日、ここから、希望にあふれ、誇りある日本を、皆さん、共に、創り上げようではありませんか」という高らかな宣言とまったく逆の未来が待っているでしょう。