街頭演説を行いました【今の政治の問題点について】

10月30日(火)、葵区御幸町通りの一角をお借りして街頭演説を行いました。
10月29日に行われた自民党の代表質問に絡め、今の政治の問題点は美辞麗句で本質を隠すことであるというお話しをさせていただきました。ぜひご覧ください。

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 29日、立憲民主党、自民党、国民民主党の代表質問が行われました。
 自民党の代表質問において、衝撃の発言が飛び出しました。質問に立った稲田議員が、「今後、高齢者には、社会保障の受け手から支え手にかわっていただく」という質問をされ、これを受けて安倍総理が「高齢者であってもいくつになっても学び働く」「70歳まで就労可能な整備をしていく」と答えたのです。つまり、「働ける限りは死ぬまで働いてもらう。年金は働けなくなった時にしか出さない」という宣言です。これほど露骨な発言がされたわけです。
 しかしながら「高齢者が年金をもらう主体から年金を支払う主体になり、事実上ほとんどの人が年金をほとんどもらえないまま死んでいく」という社会に切り替えるという驚くべき宣言に対し、マスコミの反応が薄いというか、無い。

 今の日本の財政状況を考えると、年金の支給年齢を70歳に引き上げることそれ自体はやむを得ないことという側面があるのは否定しません。しかし、今までこんなことは一度も政府から国民に説明されてきませんでした。
 皆さんは一生懸命年金保険料を納めていれば60歳になったら年金がもらえる、65歳になったら年金がもらえる、そういう前提で年金を納めてきたのではないでしょうか。それがある日突然、「全世代型社会保障」という耳障りのいい名前をかぶせられ、70歳まで年金は払わない、あるいは高齢者であっても年金の貰い手から払い手に代わってもらう、こんなことを何の謝罪も説明もなく、わずかな言葉だけで宣言される。そんなことが果たして許されるのでしょうか。

 私は、安倍総理は、皆さんやマスコミの反応を見ていると思います。こういうことに対して国民はもっと怒っていい。抗議の意思を示さなければやられっぱなしです。国民が黙っていれば、約束を破るほうは丸もうけです。年金の支給開始を70歳にする、働ける限りは死ぬまで働けということを言うのであれば、せめて総理大臣が頭を下げ、内閣が辞職するというくらいのことがあってもいいと思います。抗議のうねりが日本中を覆い尽くしてもいいはずです。日本人はいつからここまでおとなしくなってしまったのでしょうか。
 日本というものが大きくゆがみ始めている。マスコミが、敏感な炭鉱のカナリアではなく、政府の言うことを批判せずに垂れ流すような存在に代わってきてしまっているのではないか、そういうことを私は危惧しています。

 決まってしまってからでは遅いのです。与党や安倍総理は、こうやって小出しにして世論の反応を見ているのです。世論がろくろく反発もしない。これならば全世代型社会保障という耳障りのいい言葉でくるんで「死ぬまで国民は働いてください。約束した年金は支払いませんから」と、平然と、与党代表質問とそれに答える総理答弁という非常に姑息なやり方で宣言をしているわけです。皆さんこのことは頭によく覚えておいてください。マスコミはほとんどこれについて報道していません。けれども、近く、このことは大きく世論をにぎわすことになるでしょう。

 もう一つ、昨日の代表質問では重要な話がありました。
 やはりこれも稲田議員の質問に答える形で、憲法9条の話が持ち出されました。
 稲田さんはこの話を持ち出す前に、「五か条の御誓文」あるいは聖徳太子の「十七条憲法」の話などを持ち出すなど、非常に復古的色彩が強い質問でした。その中で彼女は、稲田さんが防衛大臣だったとき、50度を越える南スーダンで黙々と働く自衛隊員の方がいた。汗をかき、社会資本を作り、現地の方や世界から尊敬を集めた、そういう方々が違憲だと言われてはかわいそうだ、と言いました。これに対し安倍総理は「憲法学者の2割しか自衛隊が合憲だと言っていない」と答えました。
これもまた、先ほどの全世代型社会保障と同じで大きな嘘です。
 憲法9条に関していえば、正々堂々と国の安全保障をからめたちゃんとした議論をし、また、日本の未来をどのような形の安全保障、国防のやり方で守っていくのか、そういうことも含めて議論されるのならば、私は、憲法9条について改正の俎上に乗せられても、それはあり得る話だと思っています。
 しかし今、安倍総理が行おうとしているのは「自衛隊が憲法9条に違反すると多くの憲法学者が言っている」というなありもしない話をいわばでっち上げ、「自衛隊の方がかわいそうだから」憲法9条を変えるのだという感情論に訴えるような議論でごまかして憲法9条を変えようとしているわけです。
実際は違います。アメリカの世界戦略にのっとり、日本をアメリカの軍事上の補完勢力としていくための一環が先の安保法制の改正であり、憲法9条の改正なわけです。それについても、私は、国民が真にそういった狙い、目的、国の在り方を説明され、それによって納得した上でなら、当然あり得る話だと思っています。しかし、今行われているのはそういった本当の狙いは押し隠し、「自衛隊がかわいそうだから」というまったく不正確な理屈でもってこれを推し進めようとしているわけです。

 これは先ほどの全世代型社会保障の問題と同じです。「全世代型社会保障」という、なんとなく聞いていればかっこいい、聞こえがいい。生まれてから死ぬまで国が面倒を見てくれるかのように勘違いする。冗談ではありません。全世代型社会保障は、高齢者であっても働ける限りは働いてもらうという制度です。日本からハッピーリタイアメント、引退して悠々自適な生活を送るという豊かな老後を奪ってしまう。
 皆さんの中には半分そういうことを予期しているかたもいるかもしれません。しかし、60歳あるいは65歳で引退し、あとは存分に趣味を楽しもうと思っている方もいるかもしれません。そういった皆さんの個々の社会設計、人生設計を、今までの約束を簡単に反故にして、国は、「全世代型社会保障」という名のもとに「死ぬまで働く、年金はほぼ死ぬまで出ない」という社会に変えるという宣言を昨日出してしまったわけです。
私はこのまやかしが再び始まっていること、これはどうしても皆さんにお伝えしなければいけないと思っています。

 色んな政策があります。保守的な政策、リベラルな政策、いろんな選択肢があります。一方の立場に立てば他方の政策についての批判もあるでしょう。しかし、国民に対して正確な説明をしない、しかも年金という、人々の一生を左右する重大な問題について、言葉でごまかして、なし崩し的に今までの約束を果たさないということは、大きな問題だと思っています。言いたくはありませんがこれは国家的詐欺です。
 最近の健康寿命が延びた世の中では、65歳くらいでも元気な方はいっぱいおられます。しかし70歳ともなれば体のあちこちにガタがきて、働くのが辛い、膝も痛い、走ることもできない、そういう方がほとんどになってくるでしょう。しかし安倍さんは昨日、代表質問に答えて、70歳まで就労可能な世界にする、と言いました。そして、質問した稲田議員は、高齢者であっても受け手から支え手になってもらう、そして年金をもらうどころか、年金保険料を納める、そういう存在になってもらうということを宣言したわけです。
 そのことを若い人であればあるほど怒るべきです。
 65歳まで年金保険料を納めればよかったものを70歳まで納めなければいけない。一体70歳のあと、何年皆さんは年金を受け取れるのでしょうか。それも、今、70歳と言われているわけです。このやり方が続いていけば、やがて70歳が75歳になり、やがて80歳になっていくでしょう。我々は、年金保険料を今受け取っている方たちのために一生懸命払い、自分自身は死ぬまで年金を受け取れない、そういう時代を迎えているわけです。ですから若い人であればあるほど、今国会で話されているこの問題について、もっと関心を持っていただきたい。もっともっと怒っていただきたい。本来であればきちんと頭を下げて自分たちの見通しが悪かったがために皆さんの将来設計を大きく崩してしまうことになり負担をおかけすることになる、大変に申し訳ないと総理大臣が謝るのが筋です。ところが、謝るどころか、全世代型社会保障という美辞麗句を並べ、あたかも自分たちが素晴らしい政策をとっているかのように誤魔化し、一億総活躍社会の名のもと、子育て中の女性も高齢者も死ぬまで働かなければならない、そういう国に日本を作り替えようとしているわけです。
 誤解のないように言葉を足させていただくならば、今の日本の財政状況を正面から見たとき、今安倍さんが言っているように死ぬまで働かなければならないかもしれない。そして、子育て中の女性で、子育てに対する十分なケアがなくても働いてもらわなければ労働力が不足しているという現実もあります。しかしながら、もしそういうことを訴えるのであれば、美辞麗句を並べるのではなく、正面から、今までの歴代政権、それは民主党政権も含めてですが、将来見通しが誤っていた、だからみなさんにこれから大変なご苦労をかけなければいけない、そういう謝罪が入ってしかるべきです。
私はこういったことがなされないまま、皆さんにとって本当に重要な改革、改悪がなされていくということが、今の政治の一番の問題点だと思っています。

 モリカケ問題は重要かもしれません。しかし、モリカケ問題よりももっと重要なことがある。美辞麗句の陰で、皆さんの将来を大きく変えていく、そういった社会制度の変革が次々と行われているわけです。しかし残念ながら野党においてもこういった問題、根本的な問題を正面から突き詰めるのではなく、わかりやすい政争の具、スキャンダル、こういったものにばかり注目を集めている。
 こんなことがいつまでも続けば、日本の社会は徹底的に破壊しつくされると思いますし、国民の皆様には絶望や諦めしか残らないと思っています。
今の日本の政治は変わっていかなければならない。皆さんの知らないところで多くのことが変わろうとしています。驚くほどの大転換が図られているわけです。皆さんぜひ、政治に興味を持ってください。皆さんが知らない間に、美味しい言葉でどんどん今の世の中が変えられてしまっているのです。