街頭演説を行いました。

1月15日(火)呉服町スクランブル交差点の一角をお借りして街頭演説を行いました。

お話しさせていただいたテーマの中から、日本の将来と教育の在り方についてのお話を掲載させていただきますのでご覧ください。

 

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私が子供のころ、小学校には何クラスもあり、1クラス50人近い子供たちが1人の先生に教えられていました。それでは詰め込みすぎだということで40人学級が目指され、今では40人学級は実現し、副担任までいます。でも子供たちにゆとりはありません。

例えば、今の高校生の生活を皆さんはご存知でしょうか。毎日ものすごい量の宿題が出て、自分で自由にものを考えたり、友達との遊びの中で学んでいくというようなことはできません。

その反面で、言われたことは一生懸命できるけれども、言われないことについては何もできない。そういう方達が増えているように思います。

 

私は衆議院議員ではありますが、弁護士として長年法律事務所を経営してきました。法律事務所では、事務員さんというのは大変貴重な戦力ですが、そういう方達の在り方も変わっていると実感しています。昔は指示をほとんどしなくても、自分で考えて、てきぱきと進める方が多かったと思います。今の事務員の方達も、真面目で優秀で一生懸命やってくれます。しかしながら、一つ違うのは、自分で考えて工夫してみる力が若干弱い。指示を待つという姿勢が身についてしまっている方が多いというのをよく感じます。

 

 今、日本の企業が世界で本当の意味での勝ち組になれていないのは、このような教育の在り方だと私は考えます。本当に世界で覇権を捉えている企業は、見ればおわかりのとおり独創性があります。

例えばアマゾン。最初はただの通販業者だと思っていました。しかしながら、その人の買い物を分析し、次から次へお知らせをしてくれる。年間4000円ほど払っておけば、次の日には配送料無料で配達をしてくれる。今までになかったような仕組みを開発し、そして、世界の物流の在り方、小売業の在り方を大きく変えました。

アップルが開発したスマートフォンも、世界の人々の暮らしの在り方を一変させました。マイクロソフトが普及させたパソコンが世界を変えたのもご存じのとおりです。新しく、今までなかったものを創造する企業。これが日本から途絶えて久しいと思うことはないでしょうか。

 

 今も日本で新しい企業はできています。ZOZOタウン、ソフトバンク、楽天など、入れ代わり立ち代わり、新しく日本の企業の中心になっています。しかし残念ながらそういう企業は世界にまでは進出できていません。狭い日本の中で初めて勝ち組となっているだけであって、世界の勝ち組となっている企業は今や自動車産業の生き残り、そして部品産業ばかりです。

昔はトヨタ、ソニー、ホンダなどが世界の企業と競ってきました。しかし今、自動車産業でさえも、自動運転という、これから間違いなく世界の主流となる技術に立ち遅れています。日本では自動車運転の実証実験などほとんど行われていません。このままではトヨタやホンダでさえも、下請け産業化していく家電産業のように衰退していく恐れがあります。

ソニーもトヨタもホンダも、戦後すぐに発展し、熟成した企業です。最近の企業で、国外でも名前さえ言えばどういう企業かわかるという企業はほとんどなくなってきています。ソフトバンクも、世界に進出はしていますが、企業や株式を買ったりという、資本でもって進出しているだけで、ソフトバンク独自の技術をもって、何か新しいことを世界に振りまいているわけではないのです。

私には、こういった日本企業の現実と、教育の創造性の欠如は同一のところに根があるように思えてなりません。

 

そうであるならば教育を変えればいいのです。思い切って今の教育を根本的に見直す。本当に必要なものは何なのか。例えば計算能力などの基本的なことは、いつの時代でも私は必要なことだと思っています。それに加えて、自分の頭で考えさせる教育。例えば数学ならば、証明問題を自分の頭で考えて解かせる。やり方を教え込むのではなく、色々な方法で自由に解くことをやらせる。

あるいは北欧で行われているように、1日野原に出て、自由に物を見て、何があったのかを報告する。あるいは、半日、好きなように理科室や図画工作室を使っていい、そこで自分で好きなものを作ってみる。こういう伸び伸びとした自主性を育む授業を大胆に増やしていく。そういうことこそ必要なのではないでしょうか。

もちろん基礎的な知識は必要です。しかし今や自分の頭を補助してくれる脳と言ってもいい、パソコンやインターネットが発達しています。詰め込み的な知識はいらないのです。基本的な知識さえあれば、あとの色々なものは昔とは違って容易に検索することができる。無理やり詰め込んで記憶する必要はないわけです。

今のITが発達した世の中に合った、人間の教育というのが必ずあるはずです。そういったところからやり直せば、日本人の勤勉さという特質は、いつの世代でも変わらないわけですから、もう一度日本が、人口が仮に減ったとしても、世界に誇れる産業を、企業を、ものの仕組みを作り出す力はあると私は信じています。

 

しかし残念ながら、今の政治がそれを妨げています。今の政治というのは、既得権益とがっちりと結びついています。これは与党も野党も変わりません。与党は企業や諸団体、野党は労働組合、こういった今まで日本の首根っこを押さえてきたような団体とがっちりと結びついているがゆえに、本当の意味での改革はできないでいます。

ある試算では、年間30兆円もの予算が、こういう既得権益とがっちりと結びついていることによって無駄に使われているといいます。私はこういうものをできるだけ取り払っていけば、まだ日本は伸びる余地がある、自由に色んな人が新しく何かを始める余地があると思います。人口が減少し、科学あるいはITが発達したこの世の中で、今、リセットに近い状態からやり直していけば、日本というのはまだまだ捨てたものではありません。やり直しのチャンスはあるのです。