原子力防災講演会~桜井勝延南相馬市長の話を聞いて~

9月27日に牧之原市で行われた原子力防災講演会に参加しました。その中でも心に残ったお話を紹介します。

講師として福島県南相馬市長の桜井勝延氏が「東日本大震災とその後 南相馬市の現況と復興に向けた課題」についてお話してくださいました。震災後、7万人いた市民は6万人以上が避難し、そのことが原因で亡くなった方(震災関連死)は486名で、全国で1番多いそうです。悲劇はそれだけではありません。原発事故後のことを桜井市長はこう語ってました。

原発事故が起きた後の最大の悲劇は”差別されること”です。マスコミも報道しないし、情報が全くこなくなる。南相馬市に新聞が届いたのは5月に入ってからでした。30Km圏内とか、国が勝手に線引きをする。その線引きによって差別が生まれる。人だけでなく、国も東電も差別をする。その線引きによって同じ市内であっても義援金を受け取れる人とそうでない人がいました。他の県に避難しても、福島から来たと言うだけで差別をされた人もいた。原発事故が起きると、日本中が日本人を差別する、違和感しか残らない生活になってしまうんです。

桜井市長の話を聞いて、涙が出そうになるくらい胸が苦しくなりました。

南相馬市は2030年までに脱原発宣言をしました。エネルギーを多様な形でつくり、再生可能エネルギーでまかなう、というものです。そのお手本がドイツです。

3.11後、ほとんどの市民が避難し人口が減ってしまいました。人口ピラミッドは逆ピラミッドが加速している現状を見て、桜井市長は「新生児、子どもがいなくなると未来もない」ということで、子育て支援策を打ち出しました。幼稚園・保育園を無償化したのです。その結果、人口が回復しつつあります。費用はかかりますが、南相馬市で出産する人が増えたのです。そのことは同時に放射能による恐怖が払拭されたことも意味しています。

桜井市長の原発事故後の奮闘や故郷への想いに、ただただ胸を打たれるばかりでした。そして、原発の早期廃炉、特に浜岡原発は一刻でも早く止めなければならないと改めて強く思いました。同じような悲劇を決して静岡で起こさせてはなりません。

大変貴重なお話をしてくださった桜井市長、ありがとうございました。

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