【国会報告】野党は何をしているのか

昨日から国会審議が止まっている。

維新の会を除く野党が審議を止めているからだ。きっかけとなった森法務大臣の検事長定年延長を巡る答弁は支離滅裂であって確かにひどい。しかし、今この時期に国会を止めるか?という感は強い。

国会議員に一人でも感染者が出ればその議院は活動停止に追い込まれる可能性があり、一方で予算案が衆議院を通過したとはいえ、日切れ法案を始めとしていまだ予定された法案審議は数多く残っているからだ。

新型肺炎対策についても建設的な議論が各委員会で行われることが必要なことは言うまでもない。

そんな、一分一秒が大切な時に審議を止めてどうするのか。

今は法務大臣の首や謝罪を獲りに行っている時ではない。そのくらいの状況判断が出来ないのであれば、とてもではないが将来政権を担う資格はないだろう。誰より国民がそう判断するであろうことがなぜわからないのか?

 

ところで、新型肺炎(COVID-19)はヨーロッパに飛び火しており、ドイツのメルケル首相は11日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)について「全人口の60~70%に感染する恐れがある」と正面から記者会見で国民に対して語った。同様の見通しは既にハーバード大学の公衆衛生大学院の疫学教授が2月中に示しているところ。

ただし、過剰に悲観することは不要だ。ほとんどの感染者は軽症か無症候なので、問題は医療システムの機能不全を防ぎ、高齢者と持病を持つ者を守ることだ。メルケル首相もこの点を強く訴えていた(ドイツZDF)。

そして、「医療システムに過度の負担をかけるのではなく、感染を遅らせることに軸足を置くべき」とも(ロイター)。

このメルケル首相の訴えと打ち出された対策は、発言の率直さについては相当の差があるものの現政権の対策と同じ。説明下手で損をしている感はあるが、日本の対策は十分に評価すべき合理性を持ったもの。

いずれは、COVID-19も風邪やインフルエンザと同じくありふれた感染症として人類に受容される時期がくるだろうが、今はこのウイルスの初めての流行を,できるだけ被害を最小限に抑えた上で上手にやり過ごすべき時なのだ。

 

この観点で従前から強く訴えてきたが、マスコミ―特にワイドショーは、国民を煽るのを止めるべきだ。今は何より不要な感染拡大と医療崩壊を防ぐべき時であって、これを視聴率稼ぎやら何やらに利用すべき時ではない。その自覚がマスコミにも政治にも市民にも必要だろう。

現時点において私が強く訴えたいのは次の3点。

 

・PCR検査拡大による陽性判定者の増大に備え、入院隔離と自宅待機をどのように割り振っていくのか、国が責任と財源をもって地方自治体と十二分に事前に計画を練る。それに併せて病床の確保とどのような管理体制にするのか、具体的な検討を行う。また、自宅隔離とする場合のサポート(食料品の配達や状態確認)方法についても協議と準備をする。

・ドイツのメルケル首相、フランスの保健大臣、シンガポールのリーシェンロン首相のように、病態と対策についてわかりやすく率直かつ丁寧な説明を、首相に限らず政府のトップが行う

・マスコミは、感染者数の累計だけでなく、回復者の累計も同時に発表し(参考:Worldometer Coronavirus)、国民が正確な状況を把握できるようにしてもらいたい。また報道にあたるキャスター、記者その他関係者は、不要な不安感を煽ることのないよう十分に医学的知見を学んだうえで客観報道を心がけていただきたい。