【国会報告】第197回臨時国会が召集されました

 本日、第197回臨時国会が召集されました。
 私は、無所属として再出発しましたが、無所属という立場を生かし、是々非々の自由な観点から国会の様子を皆様にお伝えし、また、私の見解・意見を述べさせていただきます。この報告を行っていくこと、そしてそのような活動を通して今の国政の問題点を皆様と共に考えていく、という新たな議員活動のスタートです。国会議員として、心躍る気持ちで国会に臨んでいます。

 初日は、安倍内閣総理大臣の所信表明演説と麻生財務大臣の財政演説がありました。

 安倍総理の所信表明は、「強い日本」を創る、という安倍さんらしい前文から始まりました。安倍さんの今までの言動やそこから覗えるキャラクターどおりの前文です。私は個々人の自由や創造性を重視するという立場ですので、必ずしも共感するものではありませんでしたが、トランプ大統領と同じく個性を前面に出しているという点で、安倍自民支持層には訴えかけるものだったでしょう。

 その後、述べられた点は、2「強靭な故郷づくり(復旧・復興の加速・震災からの復興・国土強靭化)」3「地方創生(農林水産新時代)」と続きました。この3の中で述べられた「全世代型社会保障改革」、この言葉とその内容には大きな違和感を受けています。言葉は格好の良いものですが、ありていに言えば、年金の破たんが近づき、65歳年金開始でも賄えそうもないから70歳まで支給年齢繰り上げを視野に入れ、「全世代」という言葉でごまかしている感が透けてみえます。過去の歴代政権や厚生労働省の予測の誤りの積み重ねの結果ですから、安倍政権のみの責任とは言えないでしょうが、せめて言葉でごまかすのではなく、真摯に国民に真相を告白し、骨太の議論や提案を行うべきです。

 同様の問題は、同じ項目での「女性活躍の旗を高く掲げる」と「外国人材」にもあります。女性活躍や外国人労働者の積極的受け入れは私も賛同するところです。しかし、女性労働力に着目している理由の大きなところは、極端な労働力不足解消のためという狙いがあるのでしょう。これもそのような狙いがあることを正面から認めたうえで、日本の現状を直視し、女性に偏重している家事・育児負担の軽減を図ったうえで女性の自己実現のために行うという正直な提言であるべきです。外国人材も同じです。「一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材」についてのみ「日本人と同等の報酬」を確保するとしています。しかし、日本国内に根強く残る定住外国人労働者受け入れへの偏見を是正し、「研修」という修飾語でもって、日本国籍をもつ労働者ではありえない低賃金労働を強いている不正義の是正も同時に訴えなくてはならなかったところです。

 この後、4「外交・安全保障」が述べられたあと、5「新たな国造り」結びとして6「おわりに」が語られました。外交・安全保障については、深く論じていきたいところもあり、これについての言及はまた別の機会にさせていただきます。「新たな国造り」では、安倍総理悲願の憲法改正に言及がなされました。その具体的内容については語られませんでしたが、安倍総理の主眼が憲法9条にあることは間違いのないところでしょう。9条について議論されることを否定するものではありませんが、これは広く安全保障の在り方と憲法9条改正や安保法制のその先にあるアメリカ・日本の真の狙いをつまびらかにし、国民が正確な情報をもとに正しい選択を行えるようにすることが先決です。この問題こそは、「言葉遊び」や「言葉の修飾」でごまかすべき問題ではありません。私たち、そして未来を担う子どもたちの生命の行く末にかかわるものであり、国民の真意による選択が絶対的に必要なものなのですから。

 最後に、復興・復旧予算をはじめとする必要な補正に異を唱えるものではありません。しかし、当初予算に計上すべきである項目などの問題点は隠されたままです。財政均衡の視点は、安倍総理の所信表明だけでなく、麻生財務大臣の財政演説でもまったく触れられませんでした。財政の均衡という視点は、これからの日本を考えるとき欠かせないものです。この視点が欠落すれば、所信表明の最後に述べられた「私たちの子や孫の世代のために、今日、ここから、希望にあふれ、誇りある日本を、皆さん、共に、創り上げようではありませんか」という高らかな宣言とまったく逆の未来が待っているでしょう。