本日、衆議院本会議で予防接種法改正案が通過した。法案の対象であるワクチンが功を奏し、パンデミック克服の主要な武器となるのであれば、歓迎すべきところなので、採決は全会一致。
しかし、ワクチン接種は医療行為の一種であり、ほぼすべての医療行為と同様、合併症のリスクが一定程度の確率で発生することは不可避なところ。
そして、厚労委員会における参考人質疑についても、テレビ、マスコミにもよくお出になる岡部先生、宮坂先生などの専門家参考人が口を揃えて懸念を示したのは早期の実用化のため完全に新規な製法が取られていることによる未知のリスク。
これらのリスクを上回るベネフィットがあると判断されて初めて、医療行為としてのワクチン接種は正当化される。
この点、特に問題となるのは未成年者への接種。
欧米とは異なり、我が国では現在に至るまで20歳未満の重症化率はほぼゼロ、致死率はゼロ。
このデータはアドバイザリーボードの資料としてとてもわかりにくいどころに置いてあったもの。それを私の事務所がグラフ化したのが下記のグラフだ。
問題は、厚労省がこれらのデータの元となった年齢階層別の絶対数を隠蔽していたこと。単に開示してこなかっただけでなく、私の事務所からの問い合わせに対し、それらのデータは把握していない、と嘘をついていたのだ。
下記の表は委員会前夜にようやく開示された表と、それに基づいて私の事務所で作ったグラフ。
これらのグラフからすれば、20歳未満に未知のワクチンを接種する必要がないことは明らか。
それだけでなく、この新型コロナ感染症が、いかに年代別にリスクが異なるのかも理解いただけるだろう。
これらの状況を踏まえ、岡部、宮坂両参考人は、20歳未満への接種は推奨されないことを明言された。
一方で、我が国でも80代以上の高齢者は、死亡者・重症者の絶対数こそ多くはないものの重症化率及び致死率は10%を超えており、接種によるベネフィットがリスクを上回る可能性がある。
接種に際してはこのようなエビデンスに基づく利益衡量によって、まずは優先順位が定められるべき。
この点についてはイギリス保健省が発表している、介護施設に居住する高齢者を最上位とし、80歳以上を次順位とし、以降50歳以上までを5歳ごとの区切りで細分化した優先順位の定め方は合理性があり、我が国においても参考とされるべきだろう。
最後に結論を述べる。
予防接種法改正案に接種の勧奨と努力義務が付されているとはいえ、十分な情報を提供された上で国民一人一人の自己決定権行使により打つ打たないの選択がなされるべきことは勿論だ。国、企業、組織などによる事実上の強制があってはならないのだ。
このことは、ワクチンの有効性が感染予防効果まであるものではなく、発症予防にとどまることが予想されていることを踏まえれば尚更。ワクチンを打ったからといって、無症候者として感染する可能性は依然あるからだ。
そして、厚労省は、速やかにリスクとベネフィットの合理的判断がなしうるよう、前記各グラフなど国民に十分な情報を提供すべきだ。